手洗いは非常識という時代があった!?
みなさんこんにちは。
雑学ブログ管理人のたまです。
このブログでは、知っていると話の小ネタになるような雑学をパパっと紹介して行きますので、楽しんで頂けると嬉しいです!
今回は手洗いに関する雑学です。
昨今ではインフルエンザや新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ最も効果的な方法の一つだと言われている手洗い。
ですが、そんな手洗いも非常識とされていた時代がありました。
産褥熱(さんじょくねつ)
1840年代のヨーロッパでは、子どもを産んだばかりの母親が、産褥熱(さんじょくねつ)と呼ばれる病気で亡くなるケースが多く、最良の医療を受けられた女性たちでさえ例外ではなかったのだとか。
ハンガリー人の医師、ゼンメルワイス・イグナーツはこの問題に関心を持ち、原因の調査に乗り出しました。
ゼンメルワイスが勤めていたオーストリアのウィーン総合病院には、2つの産科病棟があり、一方は男性医師たちが、他方は女性助産師たちが担当していた。
ゼンメルワイスは、助産師が赤ちゃんを取り上げたときのほうが、産褥熱での死亡率がはるかに低いことに気付きました。
そして、医師や医学生が担当した場合は、助産師が担当した場合に比べ、母親たちの死亡率が2倍に上ったのです。
そこでゼンメルワイスはこの現象を説明するため、多くの仮説を検証しました。
男性医師に診察される恥ずかしさから熱が出るのではないか、という事や、出産時の体勢が影響しているのではないかといった事も検証しましたが、どれも現実的ではなさそう。
病原菌説
そこでゼンメルワイスは新たな仮説を立てます。
その仮説とは「病原菌説」です。
病院では午前中、医師たちは医学生の解剖実習を監督しており、午後になると医師と医学生は、産科病棟で患者の診察やお産に対応していました。
一方で、助産師たちは解剖用の死体と接触する機会はなく、産科病棟でのみ働いていたそうです。
そこでゼンメルワイスは「死体の微粒子」が医師や学生を通じて母親たちに移されているのではないかとの仮説を立てました。
そしてなんと当時は医師が診察前に手を洗うという習慣がなく、解剖のときに接触した病原菌がそのまま産科病棟に持ち込まれ、患者に産褥熱が移ってしまっているのではないかとゼンメルワイスは考えました。
1847年、ゼンメルワイスはウィーン総合病院で、学生や部下の医師たちに手洗いを義務付けました。
当時は、手についた腐敗臭が消えるという事もあって、石けんではなく次亜塩素酸カルシウムを使用していたそうです。
そして、部下たちが自分の手や道具を洗うようになると、医師たちが担当する産科病棟での死亡率は大きく低下したそうです。
不遇の時代
1850年、ゼンメルワイスは権威あるウィーン医学会にて講演し、大勢の医師の前で手洗いの効果を説きました。
しかし、彼の説は当時の医学の常識に真っ向から反しており、産褥熱での死亡理由は別にあると考えていた医師たちからは批判する声ばかりだったそうです。
一説では、産褥熱での死亡理由を医師のせいとしているとも取れることから、批判されていたとも言われています。
その後何とウィーン総合病院では手洗いの義務づけをやめてしまう事に。
そしてゼンメルワイスは失意のうちにウィーン総合病院を去ります。
それでも彼は、再びハンガリーのペスト(現在のブダペスト)の病院で働き始め、手洗いを行い、そこでも母親たちの死亡率を劇的に低下させました。
そして1858年と1860年には手洗いについての論文を書き、その翌年には本まで出版しましたが、彼の説は当時の医学界からは全く受け入れて貰えず、数年後、梅毒またはアルツハイマー型認知症を患っていたとも言われているゼンメルワイスの体調はどんどんと悪化していき、1865年、精神科に入れられたゼンメルワイスは47歳でこの世を去るのでした。
名誉回復
そんな不遇の半生を送ったゼンメルワイスでしたが、彼の死から2年経った1867年、スコットランド人の外科医ジョゼフ・リスターもまた、感染症の予防策として手や手術道具の消毒を推奨し、1870年代には、手術前に手を洗う習慣を取り入れる医師が増え始めたそうです。
そして次第にゼンメルワイスの功績も認められるようになり、彼の論文はのちにルイ・パスツールの病原菌説につながり、それが患者の治療法や、病気の原因および感染経路の調査方法を変えていったと言われています。
そして1980年代には米国で手洗いに関するガイドラインが制定され、手洗いが公式に健康管理の一環とされるようになったのです。
ゼンメルワイスの理論が全く受け入れられなかった時代から100年以上が経った頃でした。
そんな彼に敬意を示し、ブダペスト医科大学はその名をゼンメルワイス大学と改称したのです。
最後に
今ではすっかり健康管理の一環になった手洗い。
でもそこには不遇な時代を戦い抜いた一人の医師がいたなんて驚きですね。
彼が居なかったら、今の医学もここまで発展していなかったかも知れませんね。
今回の雑学は以上です。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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それではまた次の雑学でお会いしましょう。
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